「52ヘルツのクジラたち」が良かったので、読んでみました。登場人物がかなり多いので、整理して読まないといけません。これから読む人のために整理してみました。
あらすじと構成
廃校が決まった小さな町の小学校。最後の秋祭りを盛大にしようと多くの人が集まります。PTAがその準備で忙しそうにしています。その母親たちや関係者が順番に主人公になって、話が進みます。全部で5章あります。
第1話 ドヴォルザーク檻より
主人公は、鈴原類。夫は悟志で幼なじみ、ともに小学校の同級生。息子の浩志は、小学6年生。類は今の生活は檻の中にいるようだと感じています。
祭りの日、高坂玄が類に会いに来ます。一学年下の彼は、類と一緒に担任の群先生と美術教師の情事を見た仲間でした。(担任の先生は翌日美術教師と駆け落ち)類は彼に校舎を案内します。
第2話 いつかのあの子
主人公は千沙。この小学校の出身で、東京で一人暮らしをしています。内縁の彼はバツイチで、この日娘の結婚式に行きました。寂しくて、年の離れた友達サチと秋祭りに来ました。悟志の昔の浮気相手で、彼との子を中絶しています。悟志は、千沙に校舎を案内します。
第3話 クロコンドルの集落で
主人公は、田中佳代子。息子の陵介がいじめにあったので、夫の故郷に転居してきました。夫の務はPTA会長で、夫婦仲がとてもいい。しかし、佳代子はセックスレスに悩んでいます。
突然務の母が秋祭りに来るといいます。彼女は認知症になっているので、ひとりで行動できません。佳代子が1日付き添って案内することになります。義母はこの小学校で教師として働いていたことがあり、昔気にかけていた生徒に会う目的がありました。
義母が言います。「鴛鴦は毎年相手を変える。相手を変えないのはクロコンドル。一生相手を変えない。仲間が監視して、もし浮気をしたら仲間から迫害される。強制的一夫一婦制。」
第4話 サンクチュアリの終わりの日
主人公は志方麦。ここの小学校の6年生。父親と暮らしているが、離婚した母の生活のめどがたって迎えに来たので、引っ越すことが決まっています。仲のいい美冬(井村瑠璃子の娘)に言おうと思いながらなかなか言えません。ここの小学校の6年生は6人です。井村美冬、鈴原浩志、志方麦、祐樹、碧、幸村寛太。6年生はまとまりがありません。
6年生で校歌を歌ったのがうまくいかず、麦はもう1回歌いたいと思っています。
第5話 私たちの祭り
主人公は村上三好。4年生の娘がいるシングルマザー。元夫が再婚して養育費が支払われなくなったのを不満に思っています。出しゃばり過ぎの婦人会と喧嘩して、PTAの仕事から外れ、ひとりで秋祭りを回ります。
そこに現れた遠山夏海は、群先生の友達で、入院中の彼女に代わって秋祭りの撮影に来たと言います。
やっときたー群先生!新婚なのになぜ駆け落ちした?今までどうしていた?
その疑問に遠山夏海がサラリと答えてくれます。
ドヴォルザーク
夕暮れになると小学校に流れるドヴォルザークの「家路」第1話〜5話の最後に「家路」が流れます。
終わりに
登場人物が多すぎます。表面的にはうまく生活できているように見える人たち…でも、みんな抱えているものがあるのだな…と感じるにはたくさんの登場人物が必要なのかもしれません。では、駆け落ちした群先生は何を抱えていたのか?と気になっていたら、最後に教えてもらえました。
でも、逃げたらダメなんです。闘わないと!
「本当の所って見えない」というのは「52ヘルツのクジラたち」と似ています。やはり町田その子だと思いました。
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