日本人として初めてダガー賞(翻訳部門)受賞した王谷晶さんの「ババヤガの夜」を読みました。
なかなか手に入らない
あまり名前の知られていない小説家なので、もともと本の数も少ないのか、受賞が発表されると書店からは消えました。アマゾンで探してみると元の値段の3倍の値段でした。メルカリも同じく。図書館に行ったけど、置いていないということで購入希望は出しておきました。7月17日に再版が出るということで、それまで待つことにしました。17日が過ぎると値段が下がり、本来の値段より安くなったので、メルカリで購入しました。
あらすじ(ネタバレなし)
主人公は新道依子。喧嘩の腕を見込まれ暴力団内樹會にスカウト(拉致?)され、一人娘のボディーガードになります。スカウトしたのは柳。彼の部下として仕事をすることになります。お嬢さんは尚子。お人形のような短大生。親の決めた婚約者がいて、短大と習い事に通っていて、その送り迎えを新道がします。やがて2人の間に友情のようなものが芽生えてきます。暴力団なので小さな事件が時々発生しますが、とうとう大きな事件が発生します。
「ババヤガの夜」の魅力
とにかくスピーディーに読ませます。読み始めるとやめられないのですが、薄い本でもあり、2時間ぐらいで読めます。
時々別の夫婦の話が挟まれていて、どうも誰かから逃げているらしく「この人たちは誰?」と気になります。私の予想は外れましたが…。
「ババヤガの夜」のしんどさ
暴力団が舞台になっているので、暴力的なシーンが多く、覚悟がいると思います。尚子の婚約者も大概にひどいやつで「尚子さん、かわいそう…」と同情します。新道も尚子もしんどい背景があります。
「ババヤガ」って何?
小説の中にもざっくりとした説明があるのですが、事前に知っておいたほうがいいと思います。
スラブの世界で、森に住む魔女のような妖婆。森の中にある一軒家で暮らしていますが、ニワトリの足の上に建てられた小屋であり、人間の骸骨が無数にあるらしい。物語ではたいてい悪役として登場し、子供を誘拐して食べてしまいます。その一方、慈悲深い部分もあると言われています。臼に乗って飛びます。
ムソルグスキー「展覧会の絵」
ムソルグスキーのピアノ曲「展覧会の絵」に「ババヤガ」があります。


「展覧会の絵」は、絵を見ながら、その絵に合った曲が流れているという設定です。
ちょうど先月ピアノで「展覧会の絵」を弾いたのですが、この「ババヤガ」の部分が私は好きです。
〜最初、何か怪しい雰囲気が感じられるメロディーから始まり、ババヤガがそっとやって来て、一気に暴れる〜という曲です。
このババヤガ暴れるメロディーが、新道が戦っている時に、私の頭の中に流れてきました。
おわりに
私の好きな曲と繋がって、題名を見ただけで気になりました。主人公どれだけ暴れるのか…と思って読んでいたら…予想以上でした。
「自分から喧嘩をふっかけないけれど、売られたら2倍返しだ。」(新道)
地獄のようなヤクザの世界で、いかに生きていくのか…新道を応援しながら読みました。
映画にもできそうだけど、暴力シーンどうするかな?

読み始めたら止まらないので、時間を確保してから読んだほうが良いですね
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