芥川賞作品2作品読んだ

書籍

芥川賞が発表されると「文藝春秋」を購入して読んでいます。これから活躍するかもしれない作家の作品を読むのが楽しみなので。

前回は該当作なしで寂しかったのですが、今回はかなり良かったです。

鳥山まこと「時の家」

最初退屈な文章だと思いました。根気よく読んでいくと「あ、家の歴史住んでいた人の生活とともに語っているのだ」と思うと、どんどん読み進められました。

まず、設計者の藪さん。彼が最後に設計した家に住むのですが、とても家に対する愛情が感じられました。大切に保存されている設計書。取手が全て手作りとは、そんな家に住んでみたいと思いました。

その後、2回家主が代わります。今は住む人もなく壊される運命にあります。

感心したのは、文章の表現力。その場にふさわしい表現を丁寧にしていると思いました。リズミカルで心地よい文章がありました。ただ、表現が長くって…もう少し短くしてほしいかも、と私は感じました。

畠山丑雄「叫び」

登場人物の動きが良くって、一気に読めました。

主人公は早野ひかる。彼は、先生について銅鐸作成をしています。早野は公務員ですが、先生は、生活保護受給者です。先生の人物像が独特で、思想的にかなり興味深い人物です。

先生の影響で郷土史の勉強を始めた早野は、さらに先生に勧められて市民交流コーディネーターになり、郷土史や歴史の知識を語るのですが、その昔語りのなかに川又青年が登場します。川又青年は昔満州に渡って、罌粟畑栽培をした人です。その彼の姿が時々早野の脳裏に浮かびます。

郷土と人々のつながりとか、別の人物と意識がつながるとか…現実ではないけれど、小説ならではの面白さが感じられました。

他の候補作品3作

「文藝春秋」の芥川賞講評を読むとだいたいどんな作品か分かります。今回は力作ぞろいだったということです。また、撰者によって推し作品が異なるのも面白いです。

久栖博季「貝殻航路」

北海道で孤独に暮らす女性が主人公。ロシアの警備船に拿捕された経験を持つ父とアイヌにルーツを持つ夫。納沙布岬や貝殻島が舞台。

板崎かおる「へび」

障害をある子どもを持った父親の物語。ADHD診断、親の病歴、おもちゃの「へび」に語りかける夫。「へび」の視点から描かれている。

坂本湾「BOXBOXBOXBOX」

霧に覆われた荷物の仕分け場で働く単純労働の作業員たちの世界。

おわりに

小説でしか書けない世界があると思います。また、言葉とか表現とかが豊かだと読んでいて心地よいです。候補となった作品は思想がしっかりしていて、じっくりと読ませます。今後、どんな作家がどんな小説を紡ぎ出してくれるか、とても楽しみです。

mimi
mimi

言葉は素敵です

コメント

タイトルとURLをコピーしました