2025年本屋大賞予想〜ノミネート作品全部読んだ〜

書籍

昨年度の本屋大賞も予想しましたが、今年度も予想してみました。今年度は、全ての作品を読もうと思い、何とかギリギリ間に合いました。まずは、作品の紹介をします。私が読んだ順です。

①朝井リョウ「生殖記」

性的マイノリティーの主人公の生殖器が語り手です。かなり細かく主人公や人間社会を分析しています。人間社会の拡大、発展、成長を気にしない主人公。出産しない人を「生産性がない」と言った政治家がいたことは記憶に新しいけれど、複雑な人間社会で、何が大切かなんて、人によって違うよね、と思いました。朝井氏は、人間の分析すごいです。なかなか読み応えのある小説でした。

②宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」

昨年本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りにいく」の続編。成瀬ファンならきっと読んでいるでしょう。やはり成瀬最強!今回は琵琶湖大使になったりして、大活躍。

③恩田陸「Spring」

これはすごい!!バレエのことを調べ尽くし、主人公「春」の魅力を多方面から伝えています。柳田國男の「遠野物語」の冒頭「戦慄せしめよ」を語る「春」。芸術すごい、バレエすごい、「春」すごい!!と私は思いました。

④金子玲介「死んだ山田と教室」

猫を助けて車にひかれ死んだ山田が、2Eの教室のスピーカーに戻って来た!大好きなクラスメイトと話がしたいという理由で。この発想はなかなか面白い。山田を中心に話が進む。クラスの人気者だった山田。山田のおかげで高校生活が楽しかったとみんな言う。スピーカーとしてクラスメイトを楽しませてくれ!と、最初は私もそう思った。でも、みんなが3年になり、卒業し…山田どうなるの?と心配になってきた。山田が死んだ理由が…

⑤一穂ミチ「恋とか愛とかやさしさなら」

プロポーズされた翌日恋人が盗撮で捕まった。新夏は、彼のことを分かろうとするが…2人ともいい人なので、うまくいってほしいと思いながら読み進めました。後半は、その恋人啓久が主人公になり、その後の人生を語ります。ネットの話とかもあリました。一気に読めました。

⑥青山美智子「人魚が逃げた」

生放送番組『週末あなた様』の突撃街角インタビューを受けた王子様は、逃げた人魚姫を探していた!5つの話があり、それぞれの話の主人公が王子様と関わる。それぞれの主人公は悩んでいて、王子と話する中で、人魚姫の気持ちを考え、自分のこととつなげていく。青山美智子さんの作品はやはりほっこりします。

青山美智子さんは、5年連続本屋大賞にノミネートされています。本屋さん好みの作品なのだと思います。

⑦山口未桜「禁忌の子」

救急医武田の元に搬送されてきた自身と瓜二つの溺死体。彼は誰?自分は誰?犯人探しとともに自身の出生の秘密に迫るミステリー。ミステリーなので、一気読みしてしまい、寝不足です(^_^;)

デビュー作にして本屋大賞ノミネート。既に鮎川哲也賞を受賞しています。武田とともにミステリー解決に挑む友人城崎が個性的。関西弁の会話も良いですね。結論については賛否分かれるところで、私はもやもやしました。

⑧早見和真「アルプス席の母」

一人息子の高校野球を応援する母が主人公です。大阪の私立高校野球部の寮に入った息子に付いて行き、神奈川県から大阪に引っ越した菜々子。寮は電話禁止なので、休日練習風景を見ることしかできないなんて、寂しすぎます。そして、父母会は大変。1年からエースナンバーをもらった航太郎ですが、そんなに順調にはいきません。

航太郎の性格いいですね。登場人物それぞれいいな、思います。

母を主人公にしたスポーツ小説は今までなかったので、とても新鮮でした。母の気持ちがわかるので、感情移入しました。読者が母なら、一押しの作品です。

⑨阿部暁子「カフネ」

突然弟を亡くした野宮薫子が主人公。弟の遺言書には、財産を元恋人にも分けるようにとあり、その元恋人小野寺せつなと関わるようになります。せつなは家事代行サービスの仕事「カフネ」をしていますが、土曜日は、ボランティアで家事代行サービスをしていて、薫子も誘われて、一緒に活動するようになります。

この2人がとても個性的で面白いです。また、せつなが料理のエキスパートで、すごいです。辛い部分もありながら、人と人がつながって、ほっこりしたりもします。私の一押しです。

⑩野崎まど「小説」

小説好きの内海集司が主人公。同じく小説好きの親友外崎真と髭の先生の書斎で本を読みまくります。小説家髭の先生の家はモジャ屋敷と呼ばれていて、二人以外の人が入ることは許されていないし、何だか不思議なところがあります。やがて、外崎が小説を書き始めます。

最後に「小説とは……」何かを語るのですが、それはとても長く、この小説をきちんと読まないと理解できないです。

小説好きの人なら よくぞ言ってくれた!と叫ぶと思います。

大賞予想は難しい

大賞が発表される前に予想をしようと思ったのですが、これは至難の業です。なぜならどの作品もいいからです。

大作なら「Spring」です。バレエのことを調べつくし、主人公にエネルギーがあり、文学の世界も入っています。文芸大賞ならこの作品でしょう。でも、やや難しいので、好みが分かれると思います。

面白さでいうと「成瀬は信じた道をいく」です。昨年大賞を受賞した「成瀬は天下を取りにいく」の勢いのままグイグイと読ませます。ただ、主人公が同じなので、新鮮さに欠けるかな、と思います。

斬新さでいくと「生殖記」です。語り手が生殖器とは…人間分析が客観的で「なるほど」と思いました。

青山美智子さんの主人公の異なる短編小説がゆるくつながる話が私は好きです。「人魚が逃げた」はメルヘンぽくって、ほっこりします。

小説好きな人なら「小説」を推すと思います。書店の人は全員読んでいると思うけれど、一般の人のことも考えると少し厳しいかな。題名にインパクトがなくて、私が読んだのも1番最後になりました。

死んだ山田と教室」は、山田と級友たちのやり取りがとても面白い。ただ、だんだん寂しくなってきます。

恋とか愛とかやさしさなら」は、帯のあらすじを見て、とても興味の湧いた作品です。でも、つらい部分が多くて、私は苦手かな。

禁忌の子」は、ミステリー構成がうまくって、わくわくしながら読めました。でも、しんどい部分はやはり苦手です。

アルプス席の母」は、悩みながらも母と息子が前向きで、安心して読めました。やはり青春物はいいですね。

カフネ」の紹介でも書きましたが、私の一押しです。しんどい部分もありますが、ほっこりします。人間っていいな、と思えます。

あえて大賞予想

どの作品もいいので、好みで選ぶことになります。一応、良いと思う人が多いだろうということも考慮しました。

大賞は「カフネ」だと思います。本屋大賞は、ほっこり系が多いので。

②「アルプス席の母」③「Spring」④「成瀬は信じた道をいく」⑤「生殖記」⑥「死んだ山田と教室」⑦「人魚が逃げた」⑧「小説」⑨「恋とか愛とかやさしさなら」⑩「禁忌の子」

mimi
mimi

どの作品も読んで良かったです

4月9日(水)に本屋大賞が発表されます。どの作品が選ばれるかわくわくします。

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