毎回芥川賞はチェックしています。今回は1作品です。題名からわくわくします。
「ゾンビ回収婦」あらすじ
AIに仕事を奪われて無職になった女性が、たまたま見つけたVRヘッドセットのゴーグルを装着して、ゲーム世界の中に没入し、NPC(ノンプレイヤーキャラクター。ゲームなどでプレイヤーが操作しない、コンピュータやシステムが動かす登場人物。)になり、ゾンビの死体を回収する仕事をすることになります。
主人公順応しすぎ
ゲームの中の人になったとわかっていたのに、あまりに順応しているので、現実世界?と時々思ってしまいました。いやいやこんなにゾンビの出てくる現実はないよね、と思いなおし…他にも現実離れした状況はあるのに、現実っぽい内容もあって、ゲーム世界?現実世界?どっち?と思ってしまいました。この印象は正しかったかもしれません。
作者の文章力
もちろんプロの作家さんなので、文章力があるのは当たり前なのですが、言葉選びがなかなかすごいと感心しました。インタビューを読むと、2年数カ月かかったとか。担当編集の方に提出しては改稿するを繰り返していたからだそうです。そうやっていい作品は作られていくんですね。
他のノミネート作品
「文藝春秋9月号」には、他のノミネート作品の講評もあります。どんな作品か簡単に紹介します。選考委員は9人です。
八木詠美「アンチ・グッドモーニング」
ストレスを抱えて不眠になった女性が、幻覚を見るようになります。最後の3作品に残った作品です。この作品が良いと思っていた選考委員もいました。
鈴木涼美「悪い血」
セックスワークに従事する主人公がいったん採られた自身の血液サンプルを取り戻そうとします。最後の3作品に残った作品です。
村司侑「ソリティアおじさんがいた頃」
京都を舞台にした職場小説。ソリティアおじさんと主人公との記憶。押した選考委員が一人いました。
仁科斂「丹心(まごころ)」
日本人建築家と現地の中国で実務を担当する青年。魅力を感じた選考委員もいました。
受賞者インタビュー
「文藝春秋9月号」には受賞者インタビューがあって、これが面白いです。
小砂川さんは、デビュー作と2作目が芥川賞にノミネートされて、3回目で受賞したんですね。妥当な受賞なのかな。
働きながらどこでも書いていた。書き始めるとアイデアがわいてくる。おばぁちゃんになるまで続けていたら、いつかは作家というものになれるのではないか。新人賞への投稿が楽しい。
みんな葛藤するために生きているのだから、存分に苦しめばいいんじゃないかな。
どんどん新しい構想が湧いてきそうで、将来が楽しみな作家です。
感想
芥川賞の選考委員は9人いるけれど、それぞれ推す作品が違っているのが面白いです。読む人によって、良いと思う作品が異なってくるんですね。最後は作品のエネルギー量で決まるのでしょうか。
自分にとって面白いと思う作品や作家にに出会うためには、色々な小説を読んでいかないといけないのかな、と思いました。

ノミネートされた5人の作家さんのこれからが楽しみです


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